黒猫

掌編

 私の目の前を黒猫が横切った。
 去り際、私のほうを見て黒猫はこう言った。

「こんなに天気がいいんだ、そんな野暮な考えはやめるこった」

 黒猫は長い尾をピンと立てながら、悠々と立ち去った。私は空を見上げた。
 なるほど、いい天気だ。

コメント

タイトルとURLをコピーしました